2017年7月19日 (水)

Dremain' girls5

words

 毎度のことながら「今日こそは1巡に違いない」という極めて楽天的な期待が儚くもしゅるしゅると縮んでいく時間を経て、ようやく入場したのはだいたい14巡めくらいだった。立ち見センターはすっかり埋まっていたのだけれど、上手の4列めの席に空きを発見。
 あそこは「森へ行こう」の西野をまっすぐに見られる席。

 
 影アナは田名部。いまや貴重なTeam Bオリメン。


 カーテンが開いて佇むシルエットが見えて、「せえの」ではじまるアカペラ。
 Dreamin girlsだ。
 これまでシアターで3回、オンデマでは200回近く見たシーンだ。


 「僕の太陽」は"大場"Team 4がもらった唯一の公演だった。その劈頭のDreamn' girlsは、まだ世には出ていないがステージのスポットライトをめざし懸命のレッスンを続ける少女達の姿を、ほんのちょっとの自嘲を交えて歌う曲。

   女の子も年頃になれば/恋のひとつもしてみたいけれど
   生憎 そんな暇もない/Dreamin' girls 

 秋元のオッサンは「恋愛禁止って言ったことはない」、でも「一生懸命やったら、そんな暇はないはず」などと抜かしていた。奥様の意見も是非聞いてみたいものだ。


 そんなイヤミはともかく、この曲はまことに当時のTeam 4の面々に似つかわしかった。
 研究生から昇格しはしたものの急拵えの4番目のTeamに押し込まれ、キャプテンの大場はやらかして謹慎中で、何とも多難な船出であった(そしてその船旅は結局沈没に終わる)。
 それでも彼女たちはDreamin' girlsだった。

 
 2013年3月、13期14期研究生プラス降格峯岸坊主みぃちゃんによる同じ演目をシアターで見て、僕はこう記した。

 おっさんは知ってる。
 この場所に立つ彼女たちの夢が、彼女たちが望む形で叶う確率は、大きく見積もったって1割にも満たないだろうことを。
 10年後、いやひょっとしたら5年後、彼女たちのほとんどが忘れ去られているだろうことを。
 それどころかある日突然、圧倒的な何かが夢どころか彼女たちを人生ごと押し流してしまうことだってあり得るってことを。

 震災の影響があったとは言え、「5年後、彼女たちのほとんどが忘れ去られているだろう」とは、いささか悲観的に過ぎる予想だったようだ。
 ちょうど4年後の今日、かつての研究生のうち、ステージを去ったのは髙島と橋本の2人だけだ。それどころか今日そこには相笠、梅田(たん)、北澤、彩希さんが立っていた。もっと言えば、大場Team4の「僕の太陽」公演初日メンバーである伊豆田と中村だっていた。
 うん。いろいろあったけれど、よくやった。取り敢えず無事に生き残った。
 君たちも、僕も。

 
 今やオワコン呼ばわりされているAKB。
 それでもしぶとく彼女たちはDreamin' girlsだ。 


 続いてRUN RUN RUN だ。
 この4年のことが頭の中を駆け巡る。まさに走り続けた日々だった。
 そんな事情、彼女たちとは関係ないんだけどさ。
 走れ!私/全速力で 
 不意に視界に飛び込んできた見慣れない小柄な子。
 上手後方の目立たないところでの全力ダンスだ。決して長いとは言えない手足を思いっきり伸ばし、ポニーテールの乱れも構わず。
 Akimoto-Senseiの言葉が頭の中に蘇る。
 そう、かっこいい方のAkimoto-Senseiだ。
  In AKB, You don't work smart...
  You work hard.
AKB49 Renai kinshi jourei 3 p25
 AKBじゃ要領なんか必要ない。ただ君のようにがむしゃらにやるだけだ。
 今日初めて会った彼女もまた、走り続けている。
 それを見た途端、涙腺が崩壊した。
 
 やっべ。

2017年3月 8日 (水)

僕の太陽7

words

 シアター着17時10分。


 3月と言えば、AKBにとって一番大切な月。


 2011年。僕がAKBと恋に墜ちた年。
 その年の3月11日。


 突然、当然来るであろうと思っていた明日が、もう来ないのかも知れないという事実を突きつけられた日。


 テレビは膨大な水が人々を押し流して行く風景を繰り返し繰り流し、原子力発電所は頓狂な煙を吹き出し、ガソリンスタンドは閉じられ、マーケットからお米が消えました。
 

 固いと信じていた足元が見る見る崩れて行く日々。
 次々不安な出来事が起こり続けた日々。
 そんな時僕がすがったのが、彼女たちでした。


 エンドレスで流れる「言い訳Maybe」を聞きながらハンドルを握り続けている時。
 「大丈夫。何とかなる」。
 そう自分に言い聞かせながら、僕は彼女たちと繋がり続けました。
 

 彼女たちと共にいれば僕は、日本は、何とかなる。

 
 そしてそれは、何とかなりました。

 
 大きな声で言うと変な人だと思われるかも知れません。でも僕はあの時、僕と日本が何とかなったのは、あっちゃんのお陰だと思っています。
 あっちゃんと優子さんと、まゆゆと、なっちゃんと、シンディーと、それからそれからたくさんの彼女たち。


 ホントに、ありがとう。


 そんな感謝の気持ちを示すために「誰かのためにプロジェクト」の募金箱を探したんだけど、おいおい、ないぞ。
 うっそーん。


 イヤイヤ、さすがにそんなことはなくて、箱はありました。荷物預かり引換券販売機の裏。ちょいお前ら大事な箱の扱いぞんざいじゃね?
 そんなことだからなーにゃに「欅行きたい」って言われちゃうんだぜ、おい。

2017年3月 7日 (火)

僕の太陽6

words


 いささか旧聞に属することなのだが、「こじまつり~感謝祭~」を見ていた矢作兼の発言。

「ひとりさ、すっごい踊りのキレの子がいたでしょ?」「ひとりだけ別次元なの! 踊りの動き方が!」「ずーっと、見てた!」

 矢作の視線を奪っていたのは、西野だった。

 
 西野未姫。
 もう「卒業」が決まっているのに、君はまだそうやって踊り続けているのか。
 誰のためではなく、もはや自分のためでもなく。
 

 はじめて君にあったのは、「僕の太陽」だった。
 あの夜、贔屓だった相笠をじっくり見ようと気色ばんでいた僕の視界に遠慮会釈なく飛び込んできたのが、君だった。

 
 「向日葵」。
 明るい悲しみを歌うその曲。空は青く、大地は黄色一色。その景色を確かに君は僕に見せてくれた。


 その空高く太陽は光り輝き、その照度に僕は目を細めた。
 その時、その太陽は君だった。


 なーんてね。


 2017年になってはじめてのご招待が「僕の太陽」だったもんで。
 月に数回しか応募できないので、なかなか当たらないのは仕方ないのだが、もうそろそろ当たったっていいだろうと思い続けて数週。やっとこ届いたメールは例の悪文。 
 以下の公演の抽選からは残念ながらもれてしまいましたが「キャンセル待ち」となります。
 むかつく文章ではあるが、番号が若いので恐らく繰り上げになるだろう。
 栄だと生誕でもない平公演のキャン待ち繰り上げが「0」なんて事態もあり得るのだが、今のAKBにそんなことは起こりようはないだろう。


 おかげさまで公演前日の昼過ぎには繰り上げ当選のメールが入った。
 惜しむらくは西野が出演しないこと。これまで「僕の太陽」は3回見た。その全てのステージに西野の姿があったのだが。今回はいない。 

 
 もう一度西野未姫が描く向日葵の丘の風景が見たかったよな、ちきしょう。

2016年12月14日 (水)

森へ行こう3

words

   深い絶望にも/明日は来るように
   風が木漏れ日を/教えるだろう

 絶望を測る言葉は深さ。深い深い、深さ。
 その底で見上げた時に、枝の隙間からこぼれる光を捉えることが果たして彼女たちにできただろうか。


--


 西野未姫。
シアターに行くことがなければ決して知ることはなかっただろう、僕のアイドル。
 最初の出会いは、2012年11月14日。研究生による「僕の太陽」だった。
 当日まで全く見知らぬ人だった。幕が開いて、最初はよく動く子がいるなあ、という程度の認識だった。決して目を引くべっぴんさんではないけど、笑顔が印象的だった。
 そして、「向日葵」。
 手を挙げ天を仰ぐ彼女の視線の先に、一瞬確かに青空が見えた。
 ホントなんだってば。
 「向日葵」は(というか「僕太」公演は、オンデマの小さな画面を通じてだけれども)何十回も見てきた。でもそんな風に感じたことは今まで一度もなかったんだ。


 あれから4年。
 数えてみたら9回、彼女とシアターで出会った。たとえ柱が邪魔をしていても、西野がそこにいることは空気を伝わってわかった。
 「元気をもらう」なんて表現は好きではないが、ステージの西野を見ていると自然にほほえみが生まれ、活力が沸いて来た。
 「今日も西野は西野だった」。
 それを確認するだけで幸せな気持ちになった。


 ちきしょう。それが、それこそがアイドルの存在意義じゃないのか?
 それだけで十分じゃないか。


 言っても詮の無いことではある。
 せめて彼女が「卒業」を口にした瞬間を、その場で目撃できたことを光宗大明神に感謝しよう。


 予兆はあった。
 その夜、久しぶりに見た西野はでっぷりと肥えていた。
 噂には聞いていたが、あれだけ動くことに費やすエネルギーを、遥かに越えるカロリーを、彼女はとり続けていたのが、一目でわかった。
 喰うしかなかったんだ。そうしなければいられなかったんだ。
 17歳だぞ。たったそれしか生きていない子どもを、どれだけ追い詰めたら気が済むんだ。


 ちきしょう。


 それでも西野は明るかった。
 飛んで跳ねて、笑ってしゃべって。岡田(奈)の生誕祭をぎりぎりまで明るく取り仕切った。

 
 偉かった。偉かったぞ、西野。
 君がいないステージに慣れるまでどれくらいかかるのだろう。
 その前にせめて。いまひとたびの。


--

心に残った人々。こまごま記す気力が出ないので手短に。


もちろん岡田(奈)。
同じく彩希さん。
初めて出会った田北。朱い唇の。
野澤。緊張を吸い込んでいくブラックホールのような。
佐藤(妃)。かわいいかわいいだけの女の子かと思ったらさにあらず。


--

   そっと目を閉じて/思い出しましょう
   心に届く/神々しい
   光がある
   森へ行こうよ


いつかまた、森のどこかで。


森へ行こう2

 ちきしょう。
 西野が「卒業」する。
 どうしたらいいんだ。
 あの場所で西野を見ることが、もうすぐできなくなる。
 ちきしょう。


words

   いつも大人たちが言っていたわ
   「森の中で遊んではいけない」と

 鬱蒼と針葉樹が生い茂る黒い森。
 そこに住んでいるのは、子どもたちを大鍋で煮ようと待ち構えている魔女や、そのはらわたを喰らおうとする狼。
 でもそこにも必ず太陽の光はさしこみ、見たことも無い美しい花や、ひょっとしたらお菓子でできた家が建っているかもしれない。
 そんな、森。


 「大人」が禁じている森。
 それは何のメタファーだったんだろう。
 危険だけれど、あやしい魅力と無限の可能性が隠されている場所。大人が諦めたそこに行けるのは子どもだけ。
 そんな「森」を、僕は想像していた。


 でも今日、西野の「卒業」を聞いてからは、その森は、西野が迷い込んでしまった森としか思えなくなってしまった。ずっと前にはなっちゃんが呑み込まれた森。


--
 

 17時ちょっと前にシアターに到着。岡田(奈)へのささやかなプレゼントをインフォメに預けようとしたら、ルールが変わっていた。動揺した僕はいつものお賽銭を忘れてしまった。


 抽選は十何巡め。もう座れない。立ち見センターは生誕祭委員の面々でいっぱい。しかたなく上手立ち2列目くらいに場所を確保しようとしたら、係のお兄さんの「センターあとひとつ座席あります」の声。ためらうことなく着席。センターブロック座席最後方に着席できた。
 ほとんど立ち見センターと変わらない視界だ。こりゃすごい。


 生誕祭委員は、とても礼儀正しくていねいだった。それはおのれを律することでしか自分を愛することが出来ない岡田(奈)の有り様をを映しているかのようだった。


 アンコールの口上を述べたのは僕の斜め後ろに立つ女の子。
 岡田(奈)がいてくれたお陰で心に傷を抱えながらも何とかやって来られたファンがいてくれたからつらくても立ち続けることができた岡田(奈)がいてくれたお陰で…


 終わることのない支え合いの連鎖。決して陽性ではないが、アイドルとファンの幸福な絆だ。これこそ「会いに行ける」アイドルだけに許された特権なんだろう。

 
 岡田(奈)の生誕祭公演は過不足なく楽しかった。シアター中が親密な空気に包まれ、誰もが笑顔だった。


 涙をこらえた西野が意を決してその言葉を発する瞬間までは。
 ちきしょう。

森へ行こう

words

   どんな悲しみにも/希望があるように
   空の太陽は/見捨てはしないよ

 前回キャン待ち貰った時、「ふむふむ、そろそろご招待近いかな」という予感はあったんだけど、やっぱり嬉しい当選通知。しかも「うちの子」Team 4。6月以来3回目の「夢死な」公演ご招待。
 前回は彩希さんの生誕祭だった。今回は岡田(奈)の生誕祭。こりゃあついてる。


 最近田野ちゃんに痺れている僕だけれど、やっぱり古い付き合いのTeam 4は特別。西野もいるし。


 そういやあ西野、ちょっと前に「文春砲(プ」を喰らったって聞いたけど、元気かな。こっちはシアターで元気に飛び跳ねる西野を見に行くんだから頼むぞ西野。


 岡田(奈)は一時不調だったんだな。
 もともと食べられるものの少ない子で、4月の「夢死な」では座った場所のせいもあって、ほとんど見られなかった。6月に行った時には休演していた。


 岡田(奈)。
 かつてステージで「笑うのが苦手」と吐露した岡田(奈)。
 決して多くを語らず、ただ「ねだるな、勝ち取れ」と己を律してきた岡田(奈)
 彼女はその言葉通り選抜入りを勝ち取った。遅まきながら、よかったよかった。 


 明るさの底が抜けている西野と自分がどうしても好きになれない岡田(奈)。
 対照的だけど、ずっと気になっている2人に、また会える。
 ありがたいありがたい。
 もしもAKBにまだ語るべき物語があるとするならば、彼女たちは間違い無くその主人公であることは間違い無い。
 まだ語るべき物語はきっとある。あそこに行けばそれが実感できる。


 

 そう思っていたのに。
 ちきしょう。
 

2016年11月29日 (火)

変な日本語

 前々から気になってたんだけど言わなかったの。
 変な日本語。

以下の公演の抽選からは残念ながらもれてしまいましたが、「キャンセル待ち」となります。

 なんだい「となります」って。タイトルが「キャンセル待ち当選のお知らせ」ってんだから、フツウに、
以下の公演につきまして「キャンセル待ち」当選されました。

 でいいじゃんねえ。


 あ、キャン待ち番号がヒドイからって八つ当たりしてるんじゃないよ。
 違うってば。てばてば。
 何回か絶望的なキャン待ちを経て当選すんるだって知ってるから。

 
 それにしても何よ130番越えって。もうちょっとくらい夢を見させてもいいじゃんよー。

2016年11月 2日 (水)

会いに行こう

words


   会いに行こう/この場所から
   自分の足で/会いに行こう


 大河ドラマが終わって、お茶々さまやっぱやっべえなあ、こりゃやっぱ太閤殿下の呪いだよなあ、なんて余韻を引きずりつつ、そうだメール見なきゃ、どうせ来てないだろうけどって思って。


 なのに。


 え、なになに、どーしたっての。
 だって9月に当たったばかりじゃん。「最終ベル」公演。
うそ、全然期待してなかったのに。当たっちゃった。また。うひょー。


 やったーやたやたー。
 うひょー嬉しいよー。


 というわけで今年2回目の「最終ベル」公演にお呼ばれしました。
 うん。大好きなみんなに会いに行こう。
 メンバーは前回とあんまり変わらないの。みぃちゃんがいない岡田(彩)がいない代わりに武藤、後藤(萌)が出るだけ。もちろんTeam違いながらも「シアターのゆいりんご」彩希さんも。そして誰よりも田野ちゃん。あれからいろいろ動画見たりしてうわすっげ田野ちゃんとか思って。楽しみ。


 17時半過ぎにシアター到着。お賽銭を投入。
 抽選は10巡くらい。おっかしいなあ、今日こそは1巡だと思ったのに。
 センターブロックはすでに満席、立ち見センター最前も埋まっていたが上手ブロックにはまだ余裕。4列目柱から2番目に着席できた。ここだとセンターステージが半分視野に入る。前は座高の低い女の子。これならいいや。
 前列も空いていたけれど、あそこに座っちゃうと、センターステージが完全にブラインドになるんだよね。ちょっとは勉強したでしょ。ね。
 隣席の客は秋葉には珍しい、キンブレ3本持ち。話を小耳に挟んだら、案の定普段は栄の人らしい。栄の劇場、いいよね。また行きてえなあ。なんて思いながら。


 満を持して影アナを待つ。あの声はやんぬ。今や貴重な91年組。
 客電が落ちて歓声が高まり、ああ、この瞬間がずっと続けばいいのに。


--


 上手、下手ブロックのつらいところはあれだね。目の前にお目当てのメンがいればいいんだけど、そうじゃ無い時にどこ向いたらいいのか悩むことだよね。
 だってそうでしょ。目の前の客がすっげえ斜め向いてたらメンもやりづらいよね。


 でも今夜は見たいメンがいっぱいいて、たいてい誰かが目の前にいたからよかったよ。


 まずは田野ちゃん。
 何度か目があった気がしたんだけど、もちろんそれは思い込み。
 思い込みを与えられる、ということは重要な能力だよね。
 やっぱり田野ちゃんのダンスはすげえや。でも前回程息が詰まる感じはなくて、開放された感じがした。 武藤がいたせいかしら。
 よく表情が硬いって言われてるみたいなんだけど、貼り付いたような笑顔より、よっぽど僕は好きだな、田野ちゃんの表情。ずっと見てると不意にぽろっと笑顔がこぼれる。それを見逃さないで済むのがシアターの醍醐味だよね。


 次に市川(愛)。
 前回は田野ちゃんばっか見てたから、気になってはいたけれどちゃんと見ることができなかった。でも今回はよく見た。目の前のステージ来た時はガン見した。
 前に彼女がボールを投げるシーンを見たことがあった。その腕はしなやかで、会場のヲタに向かってまっすぐに伸びていた。
 その先入観のせいかもしれないが、シアターに立つ彼女の指先から何か放射性のものが飛び出ていた気がした。そしてその幾つかは確かに僕に当たってた。


さらに後藤(萌)。
相変わらず食の細そうな肢体なのだが、以前にあった時より遙かにダイナミックになっていた。ちょっと背が伸びたのかもしれない。

 
 やんぬ。
 けっこうなべっぴんさん。これまで全然気がつかなかったけど。

 
 武藤。
 これもまたべっぴんさん。お見送りで一人一人に身を乗り出して手を振っていた。
 こういうところが武藤の力なんだろう。


 相笠。
 かつてRAGUさんをして「一人だけ次元が違う」「栄にいたら13期のトップにいたかな」と言わしめた相笠。何より、僕が最初にシアターに招かれた夜に心を掴まれた相笠。それが何をやってるんだ相笠。お前ここで終わるつもりか相笠。


 島田。
 ちくしょー。
 島田ごときに手を振られてぐっと来てるんじゃねえよ俺。

 そして誰よりも彩希さん。
 ダンスは基本ちょいともっさりとしているのだが、その笑顔の可愛いことったら。
 最近いつシアターに来ても会えるからなおさらなのかもしれない。
 帰り際に「見えてたよ」って言ってくれたからじゃないぜ。たぶん。


 彩希さん、お店で「モデルさん? アイドル?」と尋ねられたそうな。
 どっちも否定しちゃったら、店員さんの曰く、
 「アイドルでいうと、乃木坂だよね、AKBじゃなく」だって。


 うーむ複雑。
 まず彩希さんがモデルはともかくアイドルであることも否定しちゃったこと。
 理想は「あ、AKBの彩希さんですよね」なのだが、今の彼女にとってこれはちと高すぎるハードルだ。
 AKB村の村人以外(つまりはカタギの日本国民)におけるメンバー個々人の知名度は、小嶋指原渡辺は別格としても、たとえ選抜常連であってもとっっっても低い。柏木島崎はまあわかるかな。だが横山松井Jでもすでにアヤシイ。いわんや木﨑宮脇レベルをや。選抜二桁経験者なのに。


 「アイドルやってるんですか?」「ええ、一応...」という展開もあり得たろう。
 「え、誰々?」「あの...、AKBなんですけど」
 「ええー、ホントですかー、ごめんなさい、じゃあ指原とかと一緒に」
 「いや、指原さんはHKTなんで」
 「え」
 「博多の人なんで」
 「...じゃ小嶋さんとかぱるるさんとかと一緒にテレビとか出てるんですか」
 「いや、テレビとかあんまり...」
 「え」
 「...」
 「...ほら、AKBって総選挙とかありますよね、結構大変ですよね」
 「いや、私選挙出てないんで...」
 「え」

 
 ううむ、こりゃ気まずいな彩希さん。めんどくさいし。「アイドルやってます」も言わなかったのもわかる。

 
 でもね、彩希さん。僕は思う。今やAKBとは彩希さんのことだ、と。
 むかしTeam 4について同じ事を言ったことがあった。
 正規メンバーに昇格して、新しいTeam 名を貰ったのに、公演を貰えず、来る日も来る日も他Teamの傭兵のようにシアターを支えていた頃のTeam 4。
今読み返すと、気負いが強くていささか面はゆい感は否めない文章なのだけれど、気持ちは変わっていない。シアターに立って、それを支える人こそAKBだ。彩希さん。
それを伝えに、必ずまたあなたに会いに行こう。


 あと「AKBじゃなくって乃木坂」って言われたのは、まあ、ご愛敬。
 確かに島田に向かって「乃木坂」って言う人はいないやね。
 でも島田はAKBにならいられる。というか、いなきゃいけない。
 今もそういうとこなんだな、ここは。乃木坂もキライじゃないけどさ。

   あなた以上に/素敵な人は     いないと思う    流す涙は/笑顔の準備    教えられた

 また今夜も? 
 小娘たちに? 
 教えられたってか?


 うん。そうだ。

2016年9月29日 (木)

最終ベルが鳴る3

うへえ。


じじいは泣いてばかりいるな。
やっぱ歳だわなあ。


 実際、10歳若かったら何とも感じなかったであろう、些細なことに、泣くわけではないがしみじみと心が震えるってことは多くなったのは確かだ。
 ああ、ご飯がうまいなあ、とかね。


 まあそんなことはもうどうでもよろしい。


 田野優花。


 記録を見ると、これまで僕はこの人とシアターで2回会っている。
 2014年の3月と10月。
 そしてそれ以前にも「大場」Team 4「僕の太陽」全公演をオンデマで見て、昔からよく知ってるつもりだった。踊りが上手くて、南方系の顔立ちのべっぴんさんなのに前思春期特有の鬱屈が時々見え隠れしていた。
 彼女の「愛しさのdefense」がイチバン好きだった。


 でも僕は彼女のことを全然知らなかったようだ。


 僕の目が節穴だったのか、彼女が変わったのか。
 たぶん両方。


 感涙にむせびながらも僕の目はずっと田野を追っていた。

 
 端的に言えば、彼女は子犬の群れに紛れ込んでしまった狼だった。
 愛らしいワンちゃんたちが、可愛いダンスをしてる中で、それに合わせようとしているんだとは思うんだけれど、時折隠しきれない爪や牙が空気と僕の胸を裂く。


 こりゃ孤独だろうな。


 自嘲なのか、それとも素直な本音なのか。彼女は自己紹介で自分には友だちがいない、と語った。たった一人の友だちが、この間卒業しちゃったんだと。
 あれ、武藤って卒業したんだっけ? と一瞬思ったが、真意はすぐにわかった。武藤は田野の「友だち」じゃない。たぶん彼女の「魂のもう半分」。きっと平田か岩田のことだったのだろう。
 それを聞いてた横の相笠が、「わたし、わたしは?」とアピールしていたが、田野はにべもなく否定した。「仕事仲間」だって。
 相笠も、かつては間違いなく狼の種だったのに。


 後半のMCで、「20歳以上」と「以下」に分かれて語り合うというお題があった。
 その間彼女は思う存分悪態をついていたが、話題の流れで「以上」代表のみぃちゃんが「じゃああなたたちは何ができる?」と尋ねた時、田野はためらいもなく即座に答えた。
 「何でも出来る」と。

 
 「何でも出来る」。
 歌でも。ダンスでも。シアターのヲタを沸かそうと思えばそれも。
 求められれば、それ以上のことをいつでも。
 躊躇なくそう答えられるだけの努力を、おそらく彼女は続けてきたのだろう。


 それなのに。


 アイドルとしての田野のキャリアパスは、贔屓目にみても順風満帆とは言い難い。ありていに言えば「干され」「鳴かず飛ばず」「その他大勢」。
 あれだけのパフォーマンスができる人が、この場所にいなければならないというのは、これはもう組織における根の深い病理だ。せめてもの救いは、彼女の魂の「もう半分」が選抜に入ったってことだろう。
 思春期はとっくに終わって、田野の鬱屈はさらに深くなっていったようだ。


 それでも。
 

 踊っている間は出口が見えない閉塞感なんか、みじんも感じさせなかった。
 ああ、この人を見るためだけでも、何度でもここに来よう(もちろん西野だって見たいし、彩希さんや茂木ちゃんだってそうさ)。


 終演後の「お見送り」で、僕は両手を重ねて彼女に賛辞を示し、「すばらしかった」と唇で伝えた。たったそれだけなのに、田野は驚いたように、素直に喜びを表して隣の子のマイクに手をぶつけてしまっていた。
 てっきり「あ、どーもー」程度の返事だろうな、と思っていたのに。
 どうやら彼女には賞讃が全然足りていない。


--


 みぃちゃん。
 行き遅れてこじらせたアラサー「女子」が、ちょっと間違った方向にはじけちゃったような髪色になってた。いや、似合うけどさ。


 島田。
 カワイクなってた。いまさらだが。ほんといまさらカワイクなってどうすんだ島田。


 阿部。
 どこにいても美しかった。どこでも美しく、いつでもぬーっとしていた。


 彩希さん。
 やっぱり可愛い、一生懸命の彩希さん。カギさんが褒めるだけのことはある。
 生誕祭お土産のゆいりんご人形を見せたら喜んでた。
 やっぱカワイイや彩希。


 市川(愛)。
 一瞬昔の相笠に見えた。時々噛みつきそうになる。田野がいなかったら、間違い無くこの人を追い続けていただろう。

2016年9月28日 (水)

最終ベルが鳴る2

 今回で16回めのシアター。もちろん当選は嬉しいけれど、最初の頃のような天にも昇るような感動はないだろう。


 そりゃそうだ。今から思えば、あれは僕にとって何度か目の恋のはじまりだったんだ。不特定多数の彼女たちへの恋愛。もしくは彼女たちによって織りなされる物語りに対する愛おしさ。
 AKBに関連のあるものだったら、何でも知りたかった。どんな短い動画だって見たかった。手に入る全てのDVDを手に入れた。

   そう 愛しさとは    そのすべて/知りたくなることさ

 その後、AKBはどんどん大きくなり、気がついたら後を追っていた僕はもう息が上がってしまっていた。曲のひとつひとつについて感じたことを綴っていたこの記録を書くことも、稀になっていた。
 たまに書くのは、シアターに来た時くらいになった。
 それも、来られればいい、というのではなくて、出来れば真ん中の方で、なるべくは前の方の椅子に座って見たいよね、というゼイタクを望むようになっていた。
 人は望むものを手に入れると、さらに多くを望むようになる。多くが手に入るほど、「それ」の貴重さが見えなくなって、それを手にするときめきは消えていく。


 ときめきを失った恋は、もう恋では無い。
 なに、嘆くことはない。極めて散文的なそれは、フツウのダンジョ関係ってヤツだ。実生活でよく知ってるだろ?

 
--


 抽選前には、毎回一巡で呼ばれる予感がする。何となく判る。
 もちろん予感でしかないのだけれど。そしてそれは毎回外れるのだけれど。
 一巡で呼ばれないと、じゃあ二巡かな、と考える。呼ばれないと、じゃあ次だな、と考える。
 「おいおい今日は『優勝』か」とため息混じりのつぶやきが聞こえることがあるが、そんなことを思ったことは一度もない。我ながらビックリするほどの楽観主義だと思う。
 それでもこの日、僕のラインは十巡を過ぎても呼ばれなかった。さすがにもう椅子には座れない。それどころかちゃんとした視界が確保されるかどうか。体調を考えたら何だか帰りたい気持ちにも、少しだけなった。


 やっと呼ばれて久しぶりの立ち見。それでもセンター3列目は上出来。
 そういやイチバン最初のシアターもこの辺だった。あっちゃんはいないものの、フルメンバーに近いA6「目撃者」。あれはもう4年も前のことだ。
 シュプレヒコールと銃声の後、訳もなく涙が溢れだしたのは、恋する彼女(たち)にやっと会えたからだった。そう言えば名も知らぬ研究生だった相笠に会ったのもこの場所だった。
 やれやれ、あんな感動はもう無いのかも知れない。
 それよりなにがしかの情熱を持ってこの記録を書くモチベーションが生まれるだろうか。立ち見だってのに。


 ウエストミンスターベル、影アナは茂木ちゃん。オバチャ、タイガーファイアー、型どおりのはじまりだ。ちょっと足腰がつらいけど、まあまあ楽しみましょ。


 そんなはじまりのはずだった。
 狭い空間だが僕の斜め前のおじさん(失礼! 僕よりは若いかも知れないが)が、小さいけれど、丁寧で的確なフリコピをしていた。むむ。タダ者ではないな。きっと古参に違いない。
 それを見て僕も小さな小さな指先だけのフリコピをはじめた。
 そう。そうそう。そうだ。


 風邪気味のせいだったのか、昨日の麻酔が残っていたせいだったのか。「最終ベル」の半ばあたりで鼻の奥の方がつーんとした。
「ボーイフレンドの作り方」のあたりで僕は涙を流していた。


 みぃちゃんがいる。相笠がいる。彩希さんがいる。ちぃちゃんがいる。藤田がいる。みんながいる。すぐそこに彼女たちがいて、最初の時と同じように、笑って歌って踊っている。


 ただそれだけのこと。
 ただそれでけのことが胸の奥に迫って、僕の涙が止まらなくなった。


 僕の彼女たちへの恋は、確かに終わっていた。
 でも彼女たちは、ここで待っていた。
 4年の間、とてもたくさんのことが変わったというのに、まるで何も変わっていないかのように、ここで僕を待っていた。


 麻酔のせいだ。
 いや、シアターに充満する魔法の粉のせいだってば。
 

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