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2011年12月 6日 (火)

涙売りの少女2

words
video

 えーやっぱり続きあるんだ。うん。あるんだよ。未練かな。


 前回、「涙売り」というのは売春の暗喩(メタファー)じゃなくって、堤喩(シネクドキ)なんじゃないかって言いました。お前ただシネクドキって言いたいだけちゃうんかだから似而非インテリスノッブは嫌みだってんだよまあまあカンベンしてよちなみにこういうのデュ・ピュイ・ド・クランシャンに言わせれば第1種スノビズムというんだよおいまた始まったようわあ自我が解離し


 ええと、まず前回の補足ね補足ね補足ね(←それは保続)。


 表向き「涙売りの少女」は明示はされていないものの「アイドルが歌う『援助交際=売春』の歌」ということになっている(んだよね? 俺、ここですでに解釈間違ってる?)。秋元はこの後も似たようなテーマの詞をぽつぽつと書いている。

おじさんから声でも/掛けられたなら

おじさんの娘は/お金いらないの?

声を掛けてくれたら 誰もついていくのに/お金はいらない
嘘でもいいから/抱きしめられたい

 そうですかやっぱりおじさんですか金を出すのは。


 まあね、金で女の子買ってやることやってから「君みたいなイイ子がこんなことしてちゃダメじゃないか」って嫌みったらしく説教するってのがいい歳こいた小金持ちのおじさんの醍醐味っちゃそうなんだけどさそれにしてもカシワギちゃんに「おじさん何をしたいの」って言われたら息が止まるよね「何が」じゃなくて「何を」ってのがまたしびれる「何がしたいの」だったら単なる質問で場合によっては拒絶的なニュアンスが出てきちゃうけど「何を」だったら「何かをすること」は許容されている前提でその中のオプションで何を選びますかという意味合いが出てくるわけでましかしこのステージのカシワギちゃんにはおじさんホント参っちゃうよ「心のどこかが錆びついてる」って瞬間の表現なんかまじ何度見ても粟肌こういうの「歌に入ってる」って言うんだろうなこの子まじモンスターじゃんおい話がまじ再来年に向かってい


 失礼。ちょっと他人様に認めて貰って躁転してるのかしら。


 「涙売り…」を含めたこれらの曲の多くに、空虚感、見知らぬ他人(おじさんですか!)との出会い、売買関係を暗示するタームがちりばめられており、示唆しているのはやっぱり援助交際=売春。


 こういう歌、秋元にしてみれば「アイドルに求められるものの予定調和を崩した意外性」くらいの考えなのかもしれない。でも間違いなくこれらの言葉は一定数以上の女の子たちの心に突き刺ささっただろう。


 「あれはあたしの歌だ」と。


 そういえば当時「涙売り…」のステージを見たわんこ☆そば氏は、この曲を「スカートひるがえせなかった女の子の歌」と評している。ちょっと上からマリコな物言いで申し訳ないがまさに慧眼。


 「スカート、ひらり、ひるがえし」走っているのは、夢を持った女の子たち。たとえ実現できなくても、夢に向かう姿が人を惹きつけてやまない。
 でも、現在を生きる女の子たちにとって、夢を持つこと自体、たやすいことではない。


 自前の夢を持つことができなかった子たちが、たとえそれが幼さや愚かさのゆえであったとしても、「涙を売る」ことを選んでしまったのを誰が責められよう?


 夢を持てた子。
 夢を持てなかった子。
 その差はおそらくほんのちょっと。


 ステージに立っている彼女たちの幸運が、もう少しだけ足りなかったら。
 彼女たちの意志がもう少しだけ弱かったら。
 まわりのおじさんたちがもう少しだけワルかったら(もう十分ワルい?)。
 --
 ここまでは暗喩(メタファー)の話。
 ここからは堤喩(シネクドキ)の話。
 堤喩(シネクドキ)とは、たとえば「そんな給料じゃ飯が食えない」という言い方の「飯」。
 この場合の「飯」は字義通りの「米飯」であると同時に、「米飯を含んだ食事」であり、「食事をとるということに代表される日常生活一般」を表現している。


 同じようにAKBは、「涙」を売ってきた(もちろん涙壺に入れた目からの分泌液を売ってたわけじゃないけど…それはそれで需要はあるかもです)。
 つまりAKBのメンバーこそ「涙売りの少女」たちであった。


 AKBは劇場公演を売り、CDを売り、DVDを売り、握手を売って来た。でも秋元康が本当に売ろうとしたもの、そして秋元の読み通り観客が最も欲したもの、それは彼女たちの涙とそれを用意する「物語」であった。
 直接的にメンバーが涙を流すシーンであり、その背景にあるさまざまな物語であり、さらにはその物語を(擬似的にではあるが)共通体験するという権利(というか資格というか立場)であった。
 

 十分な準備もなくステージに立った彼女たち。
 歌えない。踊れない。しゃべれない。

売るものが/見つからない

 ならば「涙」を売るしか道はないじゃないか。


 喜びの涙、悲しみの涙。


 涙を売るために 「CD1万枚売らなきゃクビ」みたいなありがちなシナリオが書かれたこともあった。でもどうやらAKBにはそんなものは必要なかったようだ。


 日々の公演。
 チームメイトとの葛藤。闘病。復活。挫折。永のお別れ
 「卒業」。 長いナイフの夜
 「左遷」。
 新天地での奮闘。奇跡
 「みんなの夢がかないますように」。
 解雇カムバック
 チャンスの順番
 「総選挙」。「総選挙」。「総選挙」。
 破壊と創造


 涙の物語は次から次へと紡ぎ出される。まるで自動筆記のように。
 物語は読み継がれていく。業深い読み手たちの欲望のままに。
 かくして今日も「涙売りの少女」たちは目撃され続ける。


 なにせ

Never give upで/イカネバップ(行かねば)

 だもんね。
 歌っている彼女たちは、これから自分たちを待ち受けている涙の物語の大半を、この時はまだ知らないのだけれど。


 これにてA3「誰かのために」公演はめでたくお開き。

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コメント

同意見を持ってるかたを初めてみかけ非常に嬉しいです。同感です!公演DVDだとかAXだとか色々みましたがあの(心のどこかが錆び付いている)の時の柏木ちゃんは引いている手を震わせながら拳をギュッと握り、顔は寂しげな表情で…身体全体を使ってこの歌の主人公の気持ちだとかを訴える歌いっぷりにはほんとに他のメンバーを超越した何かを感じました。
涙売りの少女もわかりました。ありがとうございます。次回の公演のレビューも楽しみにしています。
話は変わりますが
上からマリコ…
予想してた歌詞とは違ってまさかの恋愛の歌に仕上がっていたのでビックリしました…
カップリングはまだ劇場盤は届いてないので聞いてないのですが、他は前回のじゃんけん同様鳥肌ものでした。お聞きになられましたか?(長文失礼しました)

> 教えて 命の使い道さま

「てもでも」の切なさ、「チョコレート」の妖艶さ、
ステージの柏木ちゃんはホントすごいと思います。

テレビからはなかなか伝わってこないんですけどね。

「上から…」はまだちゃんと聞いてないんですが、楽しみです。

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