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2013年9月

2013年9月13日 (金)

リゴレット

 リゴレット@NHKホール by スカラ座


 これぞオペラ。

 
 前回の「フォルスタッフ」が、ヴェルディ先生がオペラを極めたあまりにオペラを突き抜けてしまったのに比べ、この「リゴレット」のオペラらしさときたら!


 ほんのちょっとしたレチタティーヴォにも惜しみなくあてがわれたメロディの芳醇さ。
 素面なら誰でも突っ込みたくなるような筋立ての都合良さ。
 華美な装飾。絢爛たる衣装。
 死ななくてもいいのに意味もなく死ぬヒロイン。
 死にそうなのに響き渡るアリア。


 それにしてもジルダの"Caro nome"の美しかったこと。
 第1幕では拍手のタイミングを捉えきれなかった聴衆が、ホント、思わず我慢出来ず歓声を上げずにはいられなかった。
 いやあ、参った。


 10月にも新国立劇場の「リゴレット」を予約したけど、これほどの印象は残らないだろうなあ。


 それにしても。
 スカラ座のチケットならいともたやすく取れるというのに、かのシアターのチケットの得難いことよ。

2013年9月 4日 (水)

ファルスタッフ

 ファルスタッフ@東京文化会館 by スカラ座


 ここしばらくのオペラ熱は、このスカラ座来日が原因。
 NHKホールでメトロポリタンオペラを見たのが2011年6月。
 それからしばらくは憑きものが落ちたみたいにオペラからは遠ざかっていた(というか、別の憑きものが憑いたんだよね、AKBってのが)。


 でもスカラ座来日とくれば話は別。
 ミーハーと言われようとも、僕のDivaはずっとマリア・カラスだった。
 カラスと言えばミラノ・スカラ座。
 そのスカラ座が来るって言うんだもの、火も付きますわね。


 というわけで久々の東京文化会館。8列目はまずまずの良席。
 全くの初見で、付け焼き刃の知識を集めての観戦でした。


 「ファルスタッフ」はオペラの巨人、ヴェルディ最後の作。となればどんなアリアが待っているのか、と思いきや、コメディとはいえ何だろうこの緊張感の無さ。同じくオペラの巨匠、プッチーニ最後の作(というか遺作)があの「トゥーランドット」であったことを考えるとその違いにびっくりする。


 ストーリーは、と言えば「デブで薄毛のじじいが金目当てに人妻2人を口説こうとして失敗してお仕置きされる」。以上。
 

 原作は14世紀初頭ってことだが、舞台のしつらえは現代。
 特に1幕2幕は現代劇でも違和感のないお話し。というか、これ歌がなければ吉本新喜劇と大して変わらない筋立て。


 「大将、ここの払いどないしはるんですか」
 「ホンマお前らといると銭ばっかりかかってしゃあないわ。でもな、なーんも心配することあらへんで。わしの男性的魅力をもってすれば、金持ちの奥さんくらいイチコロや」
 「はあ、どの辺がその男性的魅力なんだっか?」
 「よく見んかい。この薄い髪と、でっぱった腹と、って何言わしとるんじゃ。ガタガタ言わんとこの手紙アリーチェはんとメグはんに届けんかい」
 「かなんなあ」


 ドタバタの終わった後の第3幕からはちょっとオペラっぽくなる。
 幕が開いたらホントの馬が飼い葉食べててびっくり。
 舞台の奥には星が輝き、美しいことこの上ない。 


 少ししてテノールが歌う愛のアリア。
 ひとしきり盛り上がって、若い恋人のソプラノが加わって二重唱になっておお、これは、と感情移入しそうになったとたん無粋な邪魔が入る。


 これヴェルディさん狙ってるでしょ。聴衆をその気分にさせといて、ハシゴを外してるでしょ。
 「おやおや皆さんずいぶんロマンティックなお顔つきですねえ(ニヤニヤ)」って。
 あえて劇的要素を削ろうとしているようにしか思えない。


 そして終幕。
 フーガ、"Tutto nel mondo è burla"「この世はすべて冗談」を、登場人物全員が横に並んで歌う。
 耳につくリフレインは、"Tutti gabbati!" 「みんな騙された!」。
 客席を指さしながら、「みんな騙された!」「みんな騙された!」。
 するとみるみる客席の照明が明るくなって、舞台から客席が丸見え。その客を指さしながら、「みんな騙された!」。その時、安全な暗闇から舞台を見て笑っていられるという観客の特権は剥奪され、登場人物の目に晒され、笑い者にされる。
 おっと、この居心地の悪さ、どっかで体験したぞ。
 そう、天井桟敷だ!


 まさに「みんな騙された!」。


 オペラを極めたヴェルディの最後のオペラがオペラを突き抜けた何か別のモノになってたでござる。
 うーむ。

2013年9月 1日 (日)

立ち見最前で観戦!

 BiS@Zepp DiverCityだけどな。
 そしてそこでの立ち見最前とは文字通り最前、手を伸ばせば舞台に手が届く場所。


 だって「現場」に行きたかったんだよー。
 大枚はたけば行ける現場が、会えるアイドルがいたんだよー。


 「知る人ぞ知る」と言うべきか「言わずと知れた」と言うべきか、恐らくその中間より少し前者に位置する「新生アイドル研究会 BiS」。
 AKBからはじまってアイドル界をさまよって辿り着いたアイドルの極北。


 自ら「アイドルは死んだ」とうそぶきながら、そのありようはどう転んでも「偶像」としか呼びようがない自家撞着の徒花。


 会場周辺にたむろする、胸に無愛想に「Idol」と書かれた黒いTシャツの面々が、ますます「アイドル」という概念の異化を進めていた。


 そのライブの最前と来れば、歴戦の古参のたまり場。
 誰もが顔見知りのまっただ中、初参加の僕は、だからと言って疎外感を感じることはなかった。


 身に綺麗な模様をまとって銭湯には一生入れてもらえそうもないおっさんとか、スキンヘッドに唇ピアスのあんちゃんとか、現場以外ではなるべくお目にかかりたくない古強者たちの表情と語らいからは、柔和なウエルカムの雰囲気が漂っていたから。


 古参でも新規でも、BiSのちゃんとした「研究員(BiSのヲタのことね)」ならみな仲間。


 ああ、きっと秋葉原のシアターでもきっとこういう時期があったんだろうなあ。


 「研究員はみんなやさしいですよ」と、最前の客は隣の初参戦の客に語っていた。
 もっとも「やさしい」という意味は「なるべく怪我をしないように気を使う」ってことなんだそうだが。


 その「なるべく」の意味するところは、ライブが始まってからわかった。


 オールスタンディング2時間以上、モッシュでアバラをバーに押しつけられ、クラウド・サーフィンの足が当たって眼鏡を飛ばされたが、最前を死守し続けた。こういうこともあろうかと、メガネはスペアを掛けてって正解。
 うん、群衆の上をサーフィンする客は、確かに怪我一つしてなかったよ。セキュリティのアンちゃんはぶち切れて襟首を掴んで引きずり下ろしていたが。僕のアバラも折れはしなかったし。


 要所要所で客が一体となって大きなお約束のフリをして、隣の研究員と自然に肩を組んだり、腕を取り合ったり。

  透明な言葉がそばで見てたんだ
  揺れる未来を指でなぞってたんだ
  
  耐えられない言葉に 見つからないように
  靴ずれした両足でここに立ってたいんだ

primal.」BiS


 「未来」が希望に満ちているなんて、成功した大人が若い頃を振り返った時だけにでっちあげる大甘なフィクションだ。ホントの未来は、宙ぶらりんな、ひりひりした不安と焦燥が、いつも通奏低音として響いていたはずだ。


 いつかは直面しなければならない残酷な「言葉」たちから、ホントは逃げ出したいのに、傷つきながら立ち続ける少女たち。
 今となっては秋元先生が語るにはとても難しい「言葉」の数々。


 そう、今の秋元先生は、甘くて柔らかで小骨を処理してあって、誰もがそのまま呑み込めるような言葉を綴ることしか許されていない。ミリオンセラーという、少なく見積もっても数千人の生活がかかっている「産業」を維持するために。
 「刺さる」言葉ではく「呑み込みやすい」言葉。


 実を言えば、BiSで一番会いたかったメンバーはすでに辞めてしまっていた。
 現場で初めて「会って」心惹かれたメンバーは、もうすぐ辞めることになってしまっていた。
 それどころか彼女たちは「来年の日本武道館での解散ライブを目指す」んだそうだから、これはもうケツカッチンが宿命づけられているわけだ。人生同様。

 
 古参研究員の皆様にしたら、厳しめの意見もあったようだが(白雪姫の腹が割けて血みどろになった程度でしたもんね)、僕にとって彼女らのライブは激しく、楽しく、少し切なかった。


 幕が降りた後、大枚はたいた客だけが舞台に呼ばれてメンバーたちと「ミート&グリート」。
 太オタたちへの特典。
 ハイタッチ? ノン。
 握手? ノンノン。
 研究員一人一人とパワーハグ、熱き抱擁だ。


 やり過ぎ? 
 いやあ、ネタとは言えメンバーが実名で登場しているアニメの中で、リーダーが「枕営業で仕事を取ってきた」と言い放つBiSだけのことはある。

 
 金さえ支払えば、憧れのアイドルを抱きしめることができる。
 数秒間だけ成就する幻想としての恋愛。
 それこそが最もアイドルらしからぬ、そして最も偶像らしいあり方だ。


 メンバーの一人は、体調不良で開演最初の数曲に間に合わなかった。でもいったん舞台に上がってからは、研究員のコールにありったけの笑みと、感涙の表情を返していた。
 僕の腕の中で、その子は明らかに具合悪そうだった。案の定彼女はその後の握手会は欠席した。


 でもどんなに具合が悪くても太オタとのハグははずさない。
 実に正しい。
 彼女たちは、黙っていても連日大入り満員のシアターに立っているわけではないのだから。


 そして僕はリーダーを抱きしめながら約束してしまった。
 「もう一度必ず来ます」と。
 うむ。
 とりあえずはジョイントがひん曲がってしまったスペアのメガネを修理することにしよう。

 
 --


 さて、我が懐かしのシアターはどうなっているんだろう。
 いくら金を払っても、運と愛がなければその場に立つこともできないあの場所は。
 この4ヶ月キャン待ち100番台しかくれなかったあそこ、あそこだってば。


 そういや最近、運はともかく愛が足りないんじゃないの>僕。
 そうだねえ、ブログの更新もさぼってるしねえ。


 でもこないだ、西野と岡田(奈)を見た時は、心が動いたよ。
 KFCの特典DVD、「振り付け映像Type A」。「三銃士」とか「なまこ姫」とか呼ばれる14期の3人が出演しているヤツ。
 センターは小嶋(真)なのは今の人気からしたら順当なことなんでしょ。
 でも見るべきはバックダンサーの西野と岡田(奈)でした。少なくとも僕は一度目は西野から目が離せなかった。二度目三度目も。で、四度目以降は岡田(奈)かな。


 限られた尺と企画の中で、しかも自分がメインではないところで、二人はありったけのアピールをしていました。「私を見て」、「私を見に来て」、と。
 西野、何か手が伸びるんだよね。「何度か目の失恋の準備」のところで。ぐいーんって。
 「カモンカモン」のとこなんか、お前らやりたい放題だなこの短い尺でって感じ。
 ちきしょう見に行きたいぞ。 


 対照的なのは同じ特典DVD、Type B。
 センターはあっちこっち玲奈っち、バックは高橋(朱)と佐々木。
 黙々とKFCのフリをなぞっている。そこには「振り付け」以外の何もない。
 いや加藤(玲)たちにあやつけてるわけじゃないよ。「振り付け映像」としたら、こっちの方が正しいんだけどさ。西野のフリ見たらコピーできる気しないもん。


 でもさ、微妙な位置にいるアイドルとしては西野岡田(奈)のように振る舞うべきなんだよ。
 ハグしろ、とは言わないからさ。


 言われた通りにやってちゃダメだ。
 「他人の地図を広げるな」って言われてるだろ。


 僕がかつてホントに好きで、一度は消えて無くなってしまったTeamの名が蘇ったんだもの。
 そこにこの2人をはじめ、たくさんの「うちの子(ああ、また使ってしまった…)」がいるんだもの。
 やっぱありったけの運と愛を振り絞らなきゃいけないよね。 

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