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2016年12月14日 (水)

森へ行こう3

words

   深い絶望にも/明日は来るように
   風が木漏れ日を/教えるだろう

 絶望を測る言葉は深さ。深い深い、深さ。
 その底で見上げた時に、枝の隙間からこぼれる光を捉えることが果たして彼女たちにできただろうか。


--


 西野未姫。
シアターに行くことがなければ決して知ることはなかっただろう、僕のアイドル。
 最初の出会いは、2012年11月14日。研究生による「僕の太陽」だった。
 当日まで全く見知らぬ人だった。幕が開いて、最初はよく動く子がいるなあ、という程度の認識だった。決して目を引くべっぴんさんではないけど、笑顔が印象的だった。
 そして、「向日葵」。
 手を挙げ天を仰ぐ彼女の視線の先に、一瞬確かに青空が見えた。
 ホントなんだってば。
 「向日葵」は(というか「僕太」公演は、オンデマの小さな画面を通じてだけれども)何十回も見てきた。でもそんな風に感じたことは今まで一度もなかったんだ。


 あれから4年。
 数えてみたら9回、彼女とシアターで出会った。たとえ柱が邪魔をしていても、西野がそこにいることは空気を伝わってわかった。
 「元気をもらう」なんて表現は好きではないが、ステージの西野を見ていると自然にほほえみが生まれ、活力が沸いて来た。
 「今日も西野は西野だった」。
 それを確認するだけで幸せな気持ちになった。


 ちきしょう。それが、それこそがアイドルの存在意義じゃないのか?
 それだけで十分じゃないか。


 言っても詮の無いことではある。
 せめて彼女が「卒業」を口にした瞬間を、その場で目撃できたことを光宗大明神に感謝しよう。


 予兆はあった。
 その夜、久しぶりに見た西野はでっぷりと肥えていた。
 噂には聞いていたが、あれだけ動くことに費やすエネルギーを、遥かに越えるカロリーを、彼女はとり続けていたのが、一目でわかった。
 喰うしかなかったんだ。そうしなければいられなかったんだ。
 17歳だぞ。たったそれしか生きていない子どもを、どれだけ追い詰めたら気が済むんだ。


 ちきしょう。


 それでも西野は明るかった。
 飛んで跳ねて、笑ってしゃべって。岡田(奈)の生誕祭をぎりぎりまで明るく取り仕切った。

 
 偉かった。偉かったぞ、西野。
 君がいないステージに慣れるまでどれくらいかかるのだろう。
 その前にせめて。いまひとたびの。


--

心に残った人々。こまごま記す気力が出ないので手短に。


もちろん岡田(奈)。
同じく彩希さん。
初めて出会った田北。朱い唇の。
野澤。緊張を吸い込んでいくブラックホールのような。
佐藤(妃)。かわいいかわいいだけの女の子かと思ったらさにあらず。


--

   そっと目を閉じて/思い出しましょう
   心に届く/神々しい
   光がある
   森へ行こうよ


いつかまた、森のどこかで。


森へ行こう2

 ちきしょう。
 西野が「卒業」する。
 どうしたらいいんだ。
 あの場所で西野を見ることが、もうすぐできなくなる。
 ちきしょう。


words

   いつも大人たちが言っていたわ
   「森の中で遊んではいけない」と

 鬱蒼と針葉樹が生い茂る黒い森。
 そこに住んでいるのは、子どもたちを大鍋で煮ようと待ち構えている魔女や、そのはらわたを喰らおうとする狼。
 でもそこにも必ず太陽の光はさしこみ、見たことも無い美しい花や、ひょっとしたらお菓子でできた家が建っているかもしれない。
 そんな、森。


 「大人」が禁じている森。
 それは何のメタファーだったんだろう。
 危険だけれど、あやしい魅力と無限の可能性が隠されている場所。大人が諦めたそこに行けるのは子どもだけ。
 そんな「森」を、僕は想像していた。


 でも今日、西野の「卒業」を聞いてからは、その森は、西野が迷い込んでしまった森としか思えなくなってしまった。ずっと前にはなっちゃんが呑み込まれた森。


--
 

 17時ちょっと前にシアターに到着。岡田(奈)へのささやかなプレゼントをインフォメに預けようとしたら、ルールが変わっていた。動揺した僕はいつものお賽銭を忘れてしまった。


 抽選は十何巡め。もう座れない。立ち見センターは生誕祭委員の面々でいっぱい。しかたなく上手立ち2列目くらいに場所を確保しようとしたら、係のお兄さんの「センターあとひとつ座席あります」の声。ためらうことなく着席。センターブロック座席最後方に着席できた。
 ほとんど立ち見センターと変わらない視界だ。こりゃすごい。


 生誕祭委員は、とても礼儀正しくていねいだった。それはおのれを律することでしか自分を愛することが出来ない岡田(奈)の有り様をを映しているかのようだった。


 アンコールの口上を述べたのは僕の斜め後ろに立つ女の子。
 岡田(奈)がいてくれたお陰で心に傷を抱えながらも何とかやって来られたファンがいてくれたからつらくても立ち続けることができた岡田(奈)がいてくれたお陰で…


 終わることのない支え合いの連鎖。決して陽性ではないが、アイドルとファンの幸福な絆だ。これこそ「会いに行ける」アイドルだけに許された特権なんだろう。

 
 岡田(奈)の生誕祭公演は過不足なく楽しかった。シアター中が親密な空気に包まれ、誰もが笑顔だった。


 涙をこらえた西野が意を決してその言葉を発する瞬間までは。
 ちきしょう。

森へ行こう

words

   どんな悲しみにも/希望があるように
   空の太陽は/見捨てはしないよ

 前回キャン待ち貰った時、「ふむふむ、そろそろご招待近いかな」という予感はあったんだけど、やっぱり嬉しい当選通知。しかも「うちの子」Team 4。6月以来3回目の「夢死な」公演ご招待。
 前回は彩希さんの生誕祭だった。今回は岡田(奈)の生誕祭。こりゃあついてる。


 最近田野ちゃんに痺れている僕だけれど、やっぱり古い付き合いのTeam 4は特別。西野もいるし。


 そういやあ西野、ちょっと前に「文春砲(プ」を喰らったって聞いたけど、元気かな。こっちはシアターで元気に飛び跳ねる西野を見に行くんだから頼むぞ西野。


 岡田(奈)は一時不調だったんだな。
 もともと食べられるものの少ない子で、4月の「夢死な」では座った場所のせいもあって、ほとんど見られなかった。6月に行った時には休演していた。


 岡田(奈)。
 かつてステージで「笑うのが苦手」と吐露した岡田(奈)。
 決して多くを語らず、ただ「ねだるな、勝ち取れ」と己を律してきた岡田(奈)
 彼女はその言葉通り選抜入りを勝ち取った。遅まきながら、よかったよかった。 


 明るさの底が抜けている西野と自分がどうしても好きになれない岡田(奈)。
 対照的だけど、ずっと気になっている2人に、また会える。
 ありがたいありがたい。
 もしもAKBにまだ語るべき物語があるとするならば、彼女たちは間違い無くその主人公であることは間違い無い。
 まだ語るべき物語はきっとある。あそこに行けばそれが実感できる。


 

 そう思っていたのに。
 ちきしょう。
 

2016年6月15日 (水)

Let's get ''あと1センチ''

words

   追いかけていた君の宝は/手を伸ばしたちょっと先にあるよ
   つま先で立って背伸びしながら/あと1センチだけ頑張ればいい

 まあ傍から見りゃ見えるのだが、やってる本人にしてみればそれが1センチ先なのか1メートル先なのか、1キロ先なのか判らないんだもん、つらいやね。


 「総選挙」の季節。
 例年だったらみんなそれこそ「あと1センチ」のつもりで1票1票をかき集めてたわけだ。いや、1センチどころか、

   空に手が届くか? /踵を上げてみようか
   遠い山が/1ミリ低くなる

 1ミリだよ1ミリ。
 その1ミリかき集めて何とか這い上がろうとする、まあ健気というか、残酷というか、そういうイベントですわね、選挙って。
 今年はそういうのから解放されて楽っちゃ楽ですが、ちと寂しいというのもあります。


 それよっか問題は腰だ。
 腰が痛くて仕方ない。
 座り仕事なのだが、同じ姿勢の座位が続くと、大腿から腰が引き連れるように痛む。
 やれやれ。そういう年だとはわかってはいるのだが。ウエイトオーバーなのかな。
 中山式コルセットで何とかしのいでいる。現状。


 てなところに二月ぶりのご招待状が届いた。 


 「うちの子」Team 4、2回目の「夢死な」公演。各公演1回きりのお約束かと思ったら2回目のお呼ばれ。前回「また来てね」って言ってくれたさっほーが、空の上の誰かさんにお願いしてくれたのかしらん。


しかも村山彩希さん生誕祭。しかも稜巴さん(おいおいこれも一発変換したぞどこで憶えたんだお前)出演。あと美桜さん。実はこの人とは3年前に博多で会ってる。正直印象は薄かった。可愛い可愛いって評判だったんだけどね。
 さはさりながら。女子(アイドル)は別れて三日なれば即ち更に刮目して相対すべしってね。況んや三年をや。
 

 で、問題はコルセット。
 今のところこいつが手放せないんだが、メタルディテクターとの相性や如何。


 腰に巻いたまま入場して鳴っちゃったどうしよう。何のために樹脂製バックルのベルトを買ったのかわかんないじゃん。はいちょっと待って~って順番遅くなったらどうしよう。
 外して入場なら安全だが、人前でもう一度コルセット巻くのもなあ。かと言ってコルセット無しで2時間保つかどうか…
 年は取りたかねえなあおい。
 
 

2016年4月20日 (水)

夢を死なせるわけにいかない2

words

   人の群れから/背中を向けて
   歩き出せばいい/一人

 これAKB村から出て行け、ってことですか?
 秋元先生ったら、またぞろ女の子集めて同じことやらかしてるじゃないですか。知ってますよ欅坂。
 何ですか 

   この世界群れていても始まらない

 って。こんな歌を、あんなかっちりした、しかも全くのお揃いの制服を着せて歌わせるなんて、まったくアンタって人は…


--


 まるっきりセンターが見えない席に座っちゃったんで、見えない人がいっぱいいました。
 「Confession」なんかほとんど音席状態。岡田(奈)のステージを走り去るとこしか見てない。
 それでもいいんだっての受け入れちゃうのがいわゆる涅槃状態。
 これもまた魔法のうち。


 Team 4やっぱいいなあ。だいたいみんな昔から知ってる連中だし。Team感があるよね、Team 4。それは「干されの連帯」なのかも知れないけれど。
 シングル選抜あんまされないでしょ。
 公式ホームページの「セットリスト」では完全無視でしょ。
 この頁、以前はちゃんと初代Team 4の公演記録をちゃんと載せててくれてたんだけどね。リニューアルして後退しちゃってやんの。
 だから「夢を死なせるわけにいかない」ってのがすっごく切実。干されても負けんなよ、とつい感情移入してしまう。
 Team全体で公演を盛り立てようという、そういう意思が感じられるんだよね。ほら、センターが見えない代わりに端っこのメンバーがよく見えるんだ。そういうところでみんなが通じあってるっていうか。
 「青春の稲妻」から「生きるって素晴らしい」でなんか頭の鉢(チャクラ)がパカって開いた。


 西野。
 出てくりゃどうしても見ちゃう西野。「ロマンス、イラネ」では主に下手にいたんでほっとんど見えなかった西野。でもね、柱の陰から一瞬振り乱された髪が見えて、すぐにそこにいるってわかった西野。
 なんであんなに動けるんだ西野。一時として静かにしていられない西野。MCで他人が喋っててもずっと表情が動き続けている西野。
 でもあれだけ動いてても顔はまん丸なんだよなあ。それが不思議。
 でもガチャガチャしてるだけじゃないんだぜ。
 「森へ行こう」では真っ正面でした。
 シアターソングの中では異色で表現のムズカシさでは屈指の曲。彼女は緊張感を保ちながら、静から動、闇から光、束縛から解放、という歌の心をきっちり表現していた。目の前でこれが見られたということひとつであの席に座った甲斐があった。たとえ「バナナ」がほとんど見られなくても。


 小嶋(真)。
 この人とはこれまで5回シアターで会っているのだけれど、正直そんなに心に引っかかることは無かった。14期のいわゆる「三銃士」(「なまこ姫」、とも)の僕の評価は西野>岡田(奈)>>小嶋(真)だった。世間では小嶋(真)の方がもててるのがちょっと不満だった。
 でもこの日のこじまこ、よかった。すっごくよかった。
 「天使のしっぽ」のイメージでカワイイカワイイこじまこと思ってたら大間違い。カッコイイんだこれが。もちろんカワイイはカワイイのだけれど、こんなにカッコよく踊ってたっけこじまこって。しなやかでキレがあって、時にクールで。
 恋チュンダンス教室で「岡田と西野に挟まれた女の子」という印象しかなかったのにお前1年も経てば変わるよなあそりゃミュージカルもやったし。「青春の稲妻」なんか見惚れちゃった。
 握手が塩だとかなんだとか言われるみたいなんだが、パフォーマーとしてこれだけできりゃ文句ないない。というかステージ以外の彼女たちの言動なんか興味ないない(ウソウソ、ちょっとある)。


 岡田(奈)。
 ほとんど見られなかったけれど、短い髪がよく似合っていた。
 ねえ、まだ辞めないよね?


 髙橋(朱)。
 この人こんないい女だったっけ。
 かつて「目が死んでる」と呼ばれ、「僕の太陽」の頃は心のこもっていない笑顔を島崎と二人ふりまいていた高橋(朱)。「アイドルなんて呼ばないで」の島崎高橋(朱)のインチキスマイルツートップは、あれはあれでよかった。だって偽アイドルの歌なんだもの。
 「黒い天使(まなっちゃんまりやぎとやったヤツ)」とかみたいに、冷たい感じの表現が得意なのかと思ってた。
 アルカイックスマイルっていうんだろうな、あの笑顔。つくり笑顔なんだけど心がこもっていない、とはちょっと違うんだよな。何というか世の男どものバカさ加減を全部呑み込んで包むような笑顔。「しょうがねえなあお前ら」って言っているような。ちょっと叱ってもらいたくなるような。やっぱキャプテンになるだけのことはあるのかな。
 肉と脂のつきぐあいもいいんだよな。女らしくて。


 岩立。
「愛の毛布」での美しさったら。よくいる普通のべっぴんさんでは決してないのだけれどね。白いドレスで佇み、少しうつむいて自分のパートでないところの歌詞をつぶやいている姿は神々しいくらいだった。
 西野と一緒に納豆食べ放題に行ったんだって。なんかほっとした。
「うふふふ」という笑い声はあんましなかった。
「バナナ」は全く見えなかったけどね(しつこい)。


 飯野。
 初見。長身で手足がすらっと伸びて、動きにメリハリがあって、爽快な人。近野を見たときの印象に近いかな? べっぴんさんの部類なのだけど、そこはかとなくおばちゃん臭がして全然みやびじゃないのもいい。
 お見送り会ではひとりひとりにきちんと腰を曲げてお礼を言っていたのが印象的だった。


 村山。
 くさってなかった。よかった。がんばれ彩希。
 僕ね彩希好きなんですよ、素直に。


 大森。
 綺麗に育ってた。17歳ってのが信じられない安定の慈母感。


 野澤。
 うるせえw。もっとやれww。


 いずりな。
 嘘だけどかわいかった。嘘だけどな。


--


 お見送りで、岩立と目があって「また来てね」って言ってもらった。
 みんなに言っているんだろうけどさあ、なんか嬉しかったよ。高校生かお前は。うん、ここに来ると僕こうなっちゃうんだよ。魔法の粉の吸い過ぎ。
 僕だってそりゃまた来たいよ。いつもそう思ってるのに、一公演一回しか来られないんだよ。
 もし知り合いだったら雲の上の誰かさんに頼んでよさっほー。

夢を死なせるわけにいかない

words

   夢を死なせるわけにいかない/あきらめるなよ
   高鳴る胸の鼓動を/もう一度

 どうやら雲の上の誰かさんが「Team 4の公演は1回は現場で見せて上げようじゃないか」と決めているのでしょう。これまでの「パジャドラ」「手つな」「アイドルの夜明け」は全部シアターで見ることができました。前身である13期+14期研究生主体の研究生公演「僕の太陽」は3回も見られたし。


 だからきっと「夢死な」公演も入れるんだろう、とは思ってたんです。
 でもねえ、待たせすぎだよおい。ぶつぶつ。


 前回のご招待から1年と半月。まあちょくちょく応募してない僕が悪いんだけどさあ。
 こっちだっていいおっさんなんだから、そんなに暇はないんだよぉ。


 でもまあいいや。当選した途端なんもかんも忘れてニヨニヨですよ当然ながら。


 折しも九州じゃ大変な震災が起こっています。
 きっと影アナで今度の地震のお見舞いもするんでしょう。
 うん、こんな時に呼ばれたということは、大人だったら大人にふさわしい募金をしろよ、という光宗大明神(懐かしいねどうも)の思し召しなんでしょうな。


--


 ひまわり組によるオリジナル「夢を死なせるわけにいかない」公演の初日は2007年12月8日、折しも「アキバ枠」というちょっと色物臭の漂う扱いで、それでも紅白歌合戦の出場が決まった年末でした。
 シングルならば名曲中の名曲、「夕日を見ているか?」の頃。
 でも売り上げは、と言えば前曲の「僕の太陽」より落ちこんでしまって、メジャーデビュー以来グループ史上最悪の数字となってしまいました。このまま夕日が沈んでしまうのかしら、という嫌な予感が立ちこめていた日々だったはずです。もちろん当時僕はまだ彼女たちと出会ってはいません。
 そういう背景を思うと、この頃始まった公演での「夢を死なせるわけにいかない」という決意表明・マニフェストって、今よりずっと切迫して真摯なものだったのでしょう。


 それは秋元先聖先生からメンバーへのメッセージでもありました。今みたいに寝言そのまま書き連ねてても黙っててもミリオン行っちゃう状況とはわけが違う。
 このまんまじゃ俺もお前らもパンクしちゃうぞおいどうすんだ「うんこや」の二の舞はカンベンしてくれよ、と。このままじゃ終われねえだろ死んでも死に切れねえよ。あ、ソニーさんすいません次は必ず…


 このフレーズはまた、我らが松村香織先輩がかつて座右の銘としていた言葉でもありました。
 その頃先輩が「りこちゃん」だったのか「かりんちゃん」だったのかはわかりません。
 秋葉でも新宿でもそこそこの売れっ子だったとのことですが、客観的に見ればすでに薹の立ち始めたお年頃でした。
 それでもなお「アイドルになりたい」という法外な夢をこじらせながら日々を過ごしていた松村先輩の心に、「夢を死なせるわけにいかない」というマニフェストは深く突き刺さりました。
 その後の奇跡の物語は、ご存じの通り。


 まあ人生の折り返しをとっくの昔に過ぎてしまった僕にしてみれば、死なせてしまった夢の数の方が、叶った夢よりも遙かに多いわけよね。
 シアターに通ったりこんな駄文をものしているのも死んでしまった連中への供養のようなものなのかも知れません。


 それにしてもこの頃の先生の言葉、切れ味よかったよなあ。よく聞くともうすでに説教は多いのだけれど、なんでだかあんま気にならないんだよな。


--

 
秋葉着17時。
 

 1年ぶりのシアター。ダクト剥き出しの無骨さは変わらない。
 変わったのは募金箱。Team ごとのサインの入った箱はもうなく、真新しい箱が一つだけ。ささやかな気持ちを投入して係の人がが頭を下げるのだけど。
 「あの…」
 「はい?」
 「ステッカーとか…」
 「そういうのはありません」
 そうですかそういうのはもうありませんか。ステッカー100枚集めてMVP入場しようと思ったけれど、もうありませんかそうですか物欲しそうな顔しちゃいましたか。すいません。そういうつもりはありませんでしたけどね。ホントホント。でもちょっとばかしさびしい。


 入場のやり方も少し変わった。さあこれからいよいよ入場ですよ、というアナウンスはなく、いつの間にか指定席のお客が入っていく。
 抽選順を発表するのはお姉さんに変わってた。
 もっとも僕のレーンの番号をなかなか呼ばないのは変わってないね、どうも。


 12-3巡くらいで入場。
 センター立ち見はすでに3列。「席空いてますよ」の声にひかれ上手ブロック四列目に着座。だってもう年なんだもん。もんもん。ステージセンターはきれいに柱の陰。
 やれやれ。赤いラインは増えてもこの柱のうっとうしさはなんも変わらない。


 影アナはすぐにわかった変わらず元気ないずりな。
 思った通り今度の地震を受けて、お見舞いの言葉は少し変わった。
 この地震、気象庁は「平成28年(2016年)熊本地震」と名付けたけれど、彼女はそうは言わず「九州地方云々」と呼んだ。そう、まだこの地震は収まっていないし、被害は熊本だけに留まっていないのだから、現時点では「熊本」と名指さないのが正しい。そういう細かな配慮が出来る人がまだ運営にいるんだね。


 ライトが消えオバチャがかかり、僕はシアターに充満する魔法の粉を胸いっぱいに吸い込む。
 うん。この魔法は何も変わっていない。

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